黒沢流・家族の再生【トウキョウソナタ】
黒沢清監督最新作『トウキョウソナタ』を見てきました。
この日はよみうりホールでの試写会だったんですが、めずらしいことに監督黒沢清さん、主演の香川照之さん、小泉今日子さん、息子役の小柳友くんと井之脇海くん、学校の先生役で出演しているアンジャッシュの児嶋一哉さん、ピアノの先生役の井川遥さんの舞台挨拶がありました。よみうりホールで舞台挨拶なんて、珍しいです(普通は国際フォーラムホールAとかCとか)。
普段、トーク番組やバラエティなどに出ない香川さん。けっこうしゃべりが面白いということを発見しました。はっちゃけぶりが「竹中直人乗り移ってる」って感じで(笑)
それにしても……黒沢監督ってかっこいいなぁ。
ヘタな俳優よりずっとかっこいいですよ。なんかニヒルな感じで。けっこう好みのタイプだったりします(照笑)。そんな監督のお姿を、生で拝見できて大変満足な舞台挨拶でした〜。
【ストーリー】
リストラされたことを家族に言えないお父さん。
ドーナッツを作っても食べてもらえないお母さん。
アメリカ軍に入隊するお兄ちゃん。
こっそりピアノを習っている小学六年生のボク。
東京に住む、ごく普通の家族の崩壊と再生までの道程を描いた作品です。
過剰なまでに“父親の威厳”を保とうとする佐々木竜平(香川照之)。でも本当はリストラされていて、家族にかくれて職安通い、昼は公園、図書館で時間をつぶしています。
長男(小柳友)は、大学をやめてアメリカ軍に入り世界平和を守ると言い出します。
次男(井之脇海)は「ピアノを習いたい」と言いますが父親は頭ごなしに「ダメだ!」と言います。
そんな家庭の中でバランスを保とうとまとめ役だった母親は、ある日突然異変をきたしました。生きるハリがないというか、毎日ただ過ぎ去っていく現状に、モヤモヤしてものを抱えています。

希望の職種になかなか就けないお父さん。やっとショッピングモールの清掃員に就くことができましたが……。

親にかくれてこっそり、ピアノ教室に通います。給食費ネコババしたので母親にバレるのですが……。

何の変化もない毎日を過ごしていたお母さん、ある日家に泥棒が入り、人質になってしまいます。犯人と盗んだクルマで逃亡するハメになるのですが……。
それぞれが抱えた悩みは、家庭内でクロスすることがありません。
家族がバラバラになってしまったのです。
このままじゃいけない。元に戻りたいと願うのですが。
ありそうな、なさそうな、ごく普通(?)の家族の物語。見終わったあとの余韻が妙に心地よかったのが印象的でした。すごくいい終わり方なんです。ちょっとジーンときちゃうような……。
黒沢監督の作品は、テーマがシリアスなものが多いのですがどこかフッと笑うシーンがちょいちょい紛れ込んでいます。
今回は、何と言っても泥棒役の役所広司さん。ヒゲぼうぼう、ギョロっとした眼光で「オレはダメ人間だぁ」と柱に頭を打ちつけるシーンは、なぜか笑いが込み上げてきました。3枚目キャラじゃない役所さんが、シリアスなコワイ顔してやってることがなぜか笑える……このテイストがまさに黒沢清! かな、と思うわけです(笑)
しかし、香川照之という俳優はどこまでスゴいんでしょうか。
つい先日見た「20世紀少年」もですが、とにかくどんな役でもこなします。キャパが広い、広いを通り過ぎて果てしない感じがします。
歌舞伎役者・市川猿之助さんの息子さんだって、知ってる人多いかな?
お父さんとお母さん(浜木綿子)が離婚しなければ、今頃歌舞伎役者になってかもしれません。
歌舞伎好きのワタシとしては、こんなキャパの広い役者が、歌舞伎をやったらさぞ面白いだろうな、勘三郎さんと共演なんかしたら、すごい舞台になりそうだな……と想像してしまいます。あぁ、もったいない(苦笑)
2008年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞し、世界各国での公開も決まったとのこと。黒沢監督って、国内よりむしろ海外での評価が高いですね。クロサワ繋がり……んなワケないか(苦笑)
■トウキョウソナタ
■監督:黒沢清
■出演:香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海、役所広司、津田寛治ほか
■日本/オランダ/香港 上映時間: 119分




















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